先日、2018年3月時点で国の予算を受けて進行中の藻類研究を記事にまとめた。

この記事では、2018年3月時点で走っている藻類研究を大小全て並べてみたが、今回は過去も含めて「藻類燃料」に関連する予算で動いているプロジェクトに焦点を当てて調べてみた。
 米国での藻類研究への注目が集まった2008年前後から、国内の主だったプロジェクトを調べてみたところ、燃料関連ではこれまでに60以上のプロジェクトが行われていることがわかった(現在進行中も含む)。

 今回から数回に渡り、2009年度から現在までの『日本の藻類燃料研究の変遷』についてまとめる。この変遷を見ることで、テーマの移り変わりと主要プレイヤーがどこなのかが見えて来る。

藻類燃料研究に助成金を出している配分省庁と事業名

 複数の省庁から予算が出ているので、先記事でも紹介した下記の図を踏まえた上でご参照いただければと思う。

藻類研究に予算をつけている各省庁の関係図/筆者作成

 2008年から現在までの、助成金配分省庁と事業は以下の通りである。

【経済産業省系】
資源エネルギー庁管轄
・2016〜2018年度「微細藻類を活用したバイオ燃料生産のための実証事業」
NEDO管轄
・2010〜2016年度「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」
・2015〜2017年度「微細藻類を活用したバイオ燃料生産のための実証事業費補助金」
・2017〜2020年度 「バイオジェット燃料生産開発事業/一貫製造プロセスに関するパイロットスケール試験」
【文部科学省系】
JST管轄
・ 2008~2016年度 CREST「二酸化炭素排出抑制に資する革新的技術の創出」
・  2010〜2018年度 CREST/さきがけ「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創生のための基盤技術の創出」
・2012〜2016年度「東北復興次世代エネルギー研究開発プログラム」
・ 2015〜2020年度 SATREPS「環境・エネルギー(低炭素社会)」(JST/JICA/AMEDでのジョイントプログラム)
・ 2017〜2021年度 未来創造事業「「ゲームチェンジングテクノロジー」による低炭素社会の実現」
【農林水産省系】
・2012〜2015年度「農山漁村におけるバイオ燃料生産基地創造のための技術開発」
【復興庁系】
・2013〜2015年度「福島県再生エネルギー次世代技術開発」
 上述した各予算枠組みのもとで行われた、全62のプロジェクトをまとめた一覧表を作成したので是非見ていただければと思う(下記)。中原渾身の力作である。どのような予算の下で、どんなプレイヤーたちが、どんな研究をしてきたのかが俯瞰できるように作ったつもりだ。なお、一覧表および次項にある各プロジェクトの説明に記載した金額は、各事業の募集時点の予算規模(最大額)を記している。

微細藻類燃料に関する国内助成金一覧表/筆者作成

今回 part.1では2009年度及び2010年度に開始されたプロジェクトNo.1〜22の詳細を記す。

2009年度採択の助成金

1)オイル産生緑藻類 Botryococcus 高アルカリ株の高度利用技術

【概要】光合成により、利用価値の高い軽質油とほぼ同じオイル成分を純度高く、大量に産生する緑藻Botryococcus braunii (ボトリオコッカス)において、高アルカリ性環境下生育株を研究開発対象とし、そのオイル生産効率を向上させるために不可欠な基礎的知見と技術基盤を開発する。基礎、応用、工業化の各研究グループに培養試料を提供する培養センター並びに培養株の特性や新たな知見を統合する情報センターを構築して、屋外大量培養技術の確立を目指す。
【委託先】<公的機関>国立環境研究所、応用光学研究所 <大学>筑波大学(中核機関)、東京工業大学
【期間】2008〜2013年度
【予算】498百万円 (83百万円/年)
【事業名】JST  CREST「二酸化炭素排出抑制に資する革新的技術の創出」

2)海洋性藻類からのバイオエタノール生産技術の開発

【概要】塩水環境で生育でき、増殖性の高いスピルリナ微細藻類などの光合成機能と代謝能力を強化するとともに、海水での高密度大量培養システムを確立することにより、デンプン生産性を2倍以上に向上させる。また、コア技術として確立した細胞表層工学を用いて藻類デンプンからの高効率なエタノール生産プロセスを開発する。
【委託先】<大学>神戸大学(中核機関)、大阪大学、清華大学(中国)、成功大学(中国)
【期間】2009〜2014年度
【予算】498百万円 (83百万円/年)
【事業名】
JST  CREST「二酸化炭素排出抑制に資する革新的技術の創出」

2010年度採択の助成金

3)遺伝子改良型海産珪藻による有用バイオ燃料生産技術開発

【概要】海水を利用して増殖可能な珪藻Rhizosolenia属等を研究開発対象とする。高発現型遺伝子操作技術を用いることにより、液体燃料として有用な炭化水素を高度に生産する能力を備えた形質転換海産珪藻株の創生を目指す。同時にこれらの海産珪藻を高効率に培養可能なバイオリアクタならびにその最適運転条件を解明・確立することにより、バイオ燃料の生産性を向上させる。また、バイオ燃料抽出後の藻体残渣から、副産物として高付加価値を有する物質を得ることにより、2030年の実用化に向けてコストに見合うバイオ燃料生産の実現性についても検討する。
【委託先】<大学> 高知大学(中核機関)、 東京大学、 京都大学 <企業>株式会社ユーグレナ
【期間】2010〜2013年度
【予算】240百万円 (60百万円/年)
【事業名】NEDO「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」

4) 共生を利用した微細藻類からのバイオ燃料製造プロセスの研究開発

【概要】微細藻類による油分生産性を向上させるために以下の2点の取り組みを行う。
「1.微細藻類と微生物との共生の利用」従来、微細藻類は光合成によって培養密度が高まると自らが排出する老廃物などの有機物や酸素によって増殖が阻害されていた。本研究では、上記の阻害物を分解する微生物を共生させることによって、微細藻類の培養濃度の高濃度化を図る。
「2.有機物を用いて増殖、脂質合成を行う資化反応の利用」従来の光合成培養と異なり、光透過率が低い場合にも効率的な培養が可能であり、培養水深の深化や培養濃度の増大が期待される。
【委託先】<大学>筑波大学 <企業> JEFエンジニアリング株式会社(中核機関)
【期間】2010〜2011年度
【予算】120百万円 (60百万円/年)
【事業名】NEDO「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」

5)微細藻類による高効率炭化水素生産プロセスの研究開発

【概要】緑藻Botryococcus brauniiは炭化水素を生産する藻として知られている。本事業では,1) この藻体からの効率的な炭化水素の回収プロセス、2) 抽出残渣からのバイオガス生成、3) 無極性溶媒による藻体からの炭化水素抽出のメカニズムを研究した。
【委託先】<大学>東京大学*(中核機関) <企業>東京ガス株式会社
【期間】2010〜2013年度
【予算】240 百万円(60百万円/年)
【事業名】
NEDO「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」

6)微細藻類由来のバイオジェット燃料製造に関する要素技術の開発

【概要】微細藻ユーグレナ(学名:Euglena gracilis, 和名:ミドリムシ)由来のバイオジェット燃料製造を目的とする。ユーグレナ油脂は炭素数14を中心とした脂肪酸及びアルコールで構成されており、他の植物油脂に比べ容易にジェット燃料に変換可能となる。本事業では、ユーグレナ生産性の向上と油脂含有率の向上の要素技術開発として「ユーグレナの生産性向上」「微細藻大量培養の基礎検討 」「油脂含有率の向上」を行う。
【委託先】<大学>慶応義塾大学 <企業>JXTGホールディングス株式会社*(中核機関)、株式会社ユーグレナ、株式会社日立プラントテクノロジー
【期間】2010〜2013年度
【予算】240百万円 (60百万円/年)
【事業名】
NEDO「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」

7)バイオ燃料高生産のための炭素固定能を強化したスーパーシアノバクテリアの創成

【概要】次世代バイオエネルギー生産生物として期待されるシアノバクテリアの光合成炭素固定能強化は、この生物のバイオ燃料生産性を向上させるために必須である。本研究では、光合成炭素固定酵素ルビスコとCO2濃縮細胞小器官カルボキシソームの量的強化、外来性優良ルビスコ過剰発現により、炭素固定能を強化したスーパーシアノバクテリアの創成を目指す。このように創成するスーパーシアノバクテリアをエタノール高生産に応用する。
【委託先】<大学>神戸大学
【期間】2010〜2013年度
【予算】40百万円 (10百万円/年)
【事業名】
JST さきがけ「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

8)乾燥・細胞壁破壊・有毒抽剤使用を不要にする藻類からの燃料抽出技術の創出

【概要】従来の微細藻類からのバイオ燃料製造技術では、多量の培養液を蒸発させたり、細胞壁を破壊したり、抽出するために、多くのエネルギーや有毒な薬品を要するなどの、環境負荷の問題があった。本研究では、新たに液化ジメチルエーテルを抽剤に利用することで、乾燥・細胞壁破壊・有毒抽剤を不要とし、さらに水資源の再利用も可能な、『製造工程もクリーンで環境に優しい』微細藻類からのバイオ燃料の製造技術の創出を目指す。
【委託先】<大学>名古屋大学
【期間】2010〜2013年度
【予算】40百万円 (10百万円/年)
【事業名】
JST さきがけ「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

9)真核藻類のトリグリセリド代謝工学に関する基盤技術の開発

【概要】バイオディーゼルの原料となる油脂を、微細藻類を用いて大量生産する新技術の開発を目指す。まず、微細藻類が油脂をどのように合成・備蓄しているかを分子レベルで明らかにし、その知見をもとに新規の遺伝子改変法や分子デザインなどの工学的技術を駆使して、任意の質と量をもつ油脂を自在に生産する技術の確立を目標とする。
【委託先】<公的機関>Institute of Plant and Microbial Biology, Academia Sinica(台湾)
【期間】2010〜2013年度
【予算】40百万円 (10百万円/年)
【事業名】
JST さきがけ「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

10)自己溶菌藻と発現ベクターを組み合せた有用物質生産・回収による排気CO2ガス再利用資源化のための基盤技術創成

【概要】シアノバクテリアABRG5-3は、増殖能が高く、光合成能の指標である光合成色素を細胞内に多く蓄積し、遺伝子操作も可能な新種株である。また培養条件に応じ「自己溶菌」する。本研究では、排気CO2ガスを微細藻培養に用いた光合成産業への活用を視野に入れ、広域宿主で複製可能な微細藻発現ベクターによる有用物質の高効率生産ならびに自己溶菌藻利用を組み合せた生産物の画期的な簡便回収法開発に資する基盤研究を行う。
【委託先】<大学>茨城大学
【期間】2010〜2013年度
【予算】40百万円 (10百万円/年)
【事業名】
JST さきがけ「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

11)暗所で光合成を行う藻類の創生

【概要】光合成は光エネルギーを利用して営まれる、生物の生存を支える根本的な反応である。酸素発生型の光合成は、可視光が利用されているが、赤外光を用いて光合成を行うことが可能になれば、可視光の存在しない暗闇でも酸素発生型光合成を駆動でき、新たなエネルギーの創生につながる。本研究では、近赤外に吸収極大をもつクロロフィルを微細藻類の光化学系に組み込み、新規な光合成および生物の創生を目指す。
【委託先】<大学>東京理科大学
【期間】2010〜2013年度
【予算】40百万円 (10百万円/年)
【事業名】
JST さきがけ「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

12)ラン藻の窒素固定酵素ニトロゲナーゼを利用した水素生産の高効率化・高速化

【概要】水素発生する生物の多くは低酸素濃度条件を必要とするが、一部のラン藻は、窒素固定反応の副産物として酸素存在下でも水素を生産できる。しかし、その水素生産性が低いため、窒素固定酵素にアミノ酸置換による変異を導入し、酵素の水素生産活性を増強する。さらに、ラン藻を改良し、窒素固定酵素を酸素から保護する異型細胞の形成頻度を増やし、酸素存在下の水素生産性の大幅な向上を目指す。
【委託先】<大学>神奈川大学
【期間】2010〜2013年度
【予算】40百万円 (10百万円/年)
【事業名】
JST さきがけ「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

13)藻類由来光合成器官の電極デバイス化とバイオ燃料変換系への展開

【概要】濃緑色単細胞微細藻類であるスピルリナの水中における効率的な酸素発生型光合成機能に着目し、スピルリナ由来の葉緑体あるいは光合成膜を固定した電極を用いて、水と二酸化炭素を作動媒体とし、太陽光エネルギーで発電しながら二酸化炭素を削減する。さらに低炭素燃料の代表でもあるメタノールを同時に生産できる革新的な光電変換系の構築を目指す。
【委託先】<大学>大分大学
【期間】2010〜2013年度
【予算】40百万円 (10百万円/年)
【事業名】
JST さきがけ「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

14)高増殖性微細藻の合成を目指した微細藻代謝フラックス制御機構の解明

【概要】微細藻類は、光を利用してCO2から糖質エネルギーを生産することが可能であり、水生であることから食糧や土地利用との競合を回避することができ、バイオエネルギー生産のための有望な生体システムと言える。本研究では、微細藻の生体システムを制御する物質代謝機構を精密に解析できる新規代謝解析手法の開発により、増殖性を決定する因子を特定し、これを強化することで微細藻由来のエネルギー生産の向上を目指す。
【委託先】<大学>神戸大学
【期間】2010〜2013年度
【予算】40百万円 (10百万円/年)
【事業名】
JST さきがけ「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

15)糖代謝ダイナミクス改変によるラン藻バイオプラスチックの増産

【概要】バイオプラスチックは、石油由来のプラスチックに変わる素材として期待されているが、製造コストの面から利用が限られている。本研究では、光合成細菌であるラン藻を用いて、生分解性ポリエステルであるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の増産を試みる。特に、シグマ因子や転写制御因子に着目し、代謝ダイナミクスを改変したラン藻を作製し、安価で環境に優しいバイオプラスチック生産系の確立を目指す。
【委託先】<大学>明治大学
【期間】2010〜2013年度
【予算】40百万円 (10百万円/年)
【事業名】
JST さきがけ「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

16)バイオマス高度利活用を志向した人工代謝システムの創出

【概要】微生物の発酵機能を担う代謝酵素群を自由自在に組み合わせ、さまざまな化学品を生産できる人工代謝システムを開発する。この手法を用いて、第3世代バイオ燃料としての実用化が期待されるブタノールの生産に取り組み、これまでの発酵プロセスを圧倒的に凌駕する生産効率を達成することを目標とする。
【委託先】<大学>大阪大学
【期間】2010〜2013年度
【予算】40百万円 (10百万円/年)
【事業名】
JST さきがけ「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

17)グリコーゲンから油脂へ:シアノバクテリア変異株の代謝改変

【概要】シアノバクテリアSynechocystis sp.PCC6803のSll0822転写因子欠損株では、細胞体積が野生株の5倍、細胞あたりのグリコーゲン蓄積量は野生株の10倍にも達する。本研究では、さまざまな酵素遺伝子を欠失・導入して、この株の代謝改変を行い、高蓄積しているグリコーゲンを、脂肪酸に変換し、最終的には油脂として蓄積させることを目指す。
【委託先】<大学>埼玉大学
【期間】2010〜2013年度
【予算】40百万円 (10百万円/年)
【事業名】
JST さきがけ「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

18)海洋性アーキアの代謝特性の強化と融合によるエネルギー生産

【概要】本研究では真核生物や細菌とは異なる第3の生物界アーキア(古細菌)を構成する微生物に着目する。まず、アーキアが水素・メタン・イソプレノイドなどのバイオ燃料関連化合物を合成する機構およびキチン・キシランなどの余剰バイオマスを分解する機構の解明と強化を目指す。さらに、個々に強化したバイオ燃料合成やバイオマス分解に関わる機能および新たに同定した機能を、ゲノム同士の大規模組換えなどにより融合し、新しいバイオエネルギー生産能力を示す微生物の創製を目指す。
【委託先】<大学>京都大学*(中核機関)、立命館大学、大阪大学、神戸大学
【期間】2010〜2015年度
【予算】40百万円 (10百万円/年)
【事業名】
JST CREST「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

19)海洋ハプト藻類のアルケノン合成経路の解明と基盤技術の開発

【概要】ハプト藻類に属する円石藻は石灰岩や原油・天然ガスの起源生物の1つと考えられており、現在の海洋でも膨大な二酸化炭素を固定する働きをもつ、光合成を行う微細藻類である。本研究では、円石藻によるアルケノンという脂質の合成能を強化するため、遺伝子や代謝経路の解析・改変技術を駆使してその合成経路を解明し、多種類の中間代謝産物の生産を可能とする技術の開発を行う。そして、海水や海洋を利用するバイオ燃料や原油の代替となる工業原料の生産を強化するための基盤技術の確立を目指す。
【委託先】<大学>筑波大学*(中核機関)、北海道大学
【期間】2010〜2015年度
【予算】498百万円 (83百万円/年)
【事業名】
JST CREST「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

20)微細緑藻Botryococcus brauniiの炭化水素生産・分泌機構の解明と制御

【概要】微細緑藻Botryococcus braunii(ボトリオコッカス ブラウニー)は光エネルギーと二酸化炭素を利用して、他の生物に例を見ないほど大量の液状炭化水素を生産し、細胞外へ放出する。この炭化水素は代替石油としての利用が期待できる。この生物が「なぜ」、「どのように」炭化水素を生産し、細胞外へ放出するのかを、細胞および分子レベルで明らかにし、さらにそのメカニズムをより効率の良いものに改変することにより、微細藻類によるバイオ燃料生産技術の確立を目指す。
【委託先】<大学>東京大学*(中核機関)、奈良女子大学、高知工科大学
【期間】2010〜2015年度
【予算】498百万円 (83百万円/年)
【事業名】
JST CREST「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

21)シアノファクトリの開発

【概要】本研究は海洋シアノバクテリアが持つバイオ燃料関連化合物生産能力に注目し、その生合成を合成生物学的アプローチにより設計・制御する。さらに、藻体からの当該化合物の回収プロセスまで一貫して設計した「シアノファクトリ」を開発することを目的とする。シアノファクトリは1)増殖・生産・凝集・溶解が光刺激によって制御できる海洋合成シアノバクテリアホスト、2)バイオ燃料関連化合物を生産するための遺伝子群、3)海洋合成シアノバクテリアホスト藻体からバイオ燃料関連化合物を回収するためのイオン液体を用いて抽出するプロセス、から構成される。
【委託先】<大学>東京農工大学*(中核機関)
【期間】2010〜2015年度
【予算】498百万円 (83百万円/年)
【事業名】
JST CREST「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

22)微細藻類の倍数化と重イオンビーム照射によるバイオ燃料増産株作出に関する新技術開発

【概要】微細藻類を用いたバイオ燃料生産を実用化するためには、自然の微細藻類をそのまま使うのではなく、穀類や園芸作物と同じように大量生産が可能な株を育種する必要がある。これまで、微細藻類には育種という発想はなく、ゲノムもほとんど解読されていない。本研究では、園芸作物の品種改良で実績のある重イオンビームを微細藻類に照射して、形態に関する定量的データをもとにそれを選抜育種する、微細藻類に特化した革新的で先端的な、全ゲノム情報を基盤とした育種法の確立を目指す。
【委託先】<大学>東京大学*(中核機関)、東京薬科大学
【期間】2010〜2015年度
【予算】498百万円 (83百万円/年)
【事業名】
JST CREST「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」

 

次回part.2 では、2011年度採択以降(No.23~)の取り組みについて紹介する。


参考画像
Tokuyama”©2009 otaota DANA /CC BY 2.0