藻類生産を工業として扱うか、農業として扱うか。世界で決まりが整備されない中、
Algae Agriculture Act of 2018とは
2018年3月23日、米国連邦下院にAlgae Agriculture Act of 2018 (H.R.5373) が提出された。
この法案は、簡単にまとめると、
「藻類生産を、伝統的な農業と同等に扱おう」
というものである。
藻類生産を「農業」として扱うということ
藻類生産を農業と同等に扱う。「で?」と聴こえてきそうだが、もう少し説明を続ける。
藻類生産が農業と同等に扱われることで、藻類生産にも一般的な農業政策が適用される。それにより、藻類生産は農業と同様に、例えば、以下のような利益を享受することになる。
- 藻類生産に利用される土地に課せられる税率が、通常の農地と同様の低税率となる
- 藻類生産に利用する土地の取得に、農地取得と同様の融資・補助が受けられる
- 農業として、農務省からの経済的支援(融資や保険等)の対象となる
- 公的資金が投下される農業技術の研究・開発等の対象となる
詳しくは以下をご覧いただきたい。
枠組みを作るということ
近年米国では、提出される法案の内、成立するのものの割合が5%を切る状況であるため、この法案の成立に過度の期待は託せない。しかし、国としてこういった体制を確立しようとした動きが数多く存在する点は非常に羨ましく思える。
良くも悪くも、米国という国は、新しい分野において体系化された枠組みやルールを確立し、主導権を強固なものにしてしまう能力に非常に秀でていると感じる。主導権の確保が生む莫大な利益を享受してきた経験がそうさせるのだろう。
例えば航空バイオ燃料一つにしても、商業化する上で、国際的な工業規格であるASTM(American Society for Testing and Materials)規格の認証を受ける必要がある(JISの航空燃料規格はASTMに準拠したものである)。検定や認証自体が一つの産業を形成し、莫大な利益を生み、その上、世界中の新しい技術が認証を受けるためにそこに集まるのだ。
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