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藻類を利用した廃水処理システム

藻類を利用した廃水処理システム

先月、米国ミズーリ州のClearas Water Recovery社は、廃液で藻類を培養することで水を浄化し、また増えた藻類を副産物として利用することを目的とした大規模施設の建設を発表した。

このシステムは、ABNR(Advanced Biological Nutrient Recovery)という名で、廃液に含まれる栄養成分(主に窒素とリン)を藻類が吸収して増えることで水を綺麗にする仕組み。大規模施設はユタ州の自治体に建設予定で、1日に4百万ガロン(15,200トン)の廃水を処理し、副産物として発生する藻類の生産量は1日あたり8,000ポンド(=3,629kg)になるとのこと。副産物として生産された藻類は、飼料利用をメインとした複数の用途展開が検討されている。

ABNRシステムについては、以下の説明動画をご覧いただきたい。

Clearas Water Recovery社は1日15,000ガロンの廃水を処理できる実証設備を保有しており、今回はそれを大幅にスケールアップさせたものとなる。

ABNRシステムは3つのステップから成り立っている。

  • ステップ1:
    廃液に二酸化炭素と種藻を混ぜる。二酸化炭素で藻類を活性化させ、pHレベルを管理する。
  • ステップ2:
    フォトバイオリアクターによる藻類の培養。この過程で二酸化炭素、窒素、リン、その他の栄養成分を藻類が吸収する。水流、pH、光強度が最適化されるように管理する。
  • ステップ3:
    育った藻を分離。増えた藻類の一部は種藻としてステップ1に送り、余った藻は収穫する。

これまでに3箇所の自治体と1つの工場に小スケールのプラントを導入しており、特にリンの回収能力に強みを持っているようだ。導入した小プラントから取れる藻類バイオマスについては、用途開発のための原料として利用しているとのこと。

廃液を綺麗にし、なおかつ、副産物として付加価値のあるものを取り出せるというシステムは、従来コストセンターであった廃水処理をプロフィットセンターに変えられるインパクトを持つ。ただ、コンセプトとしては優れている反面、生物を使った水処理には課題も多い。様々な廃水の多様性への対応、入ってくる水質の変動に対するロバスト性、廃水処理能力の安定性、副産物として得られた藻類の安全性や生産性…..など少し考えただけでも気になるポイントは多くある。Clearas Water Recovery社がこれらの技術的課題のハードルをどのように乗り越えながら大規模プラントを立ち上げていくか、続報を楽しみにしたい。

この記事を書いた人

ちとせ研究所取締役。小学生の頃、友達と遊んでる際に窒息で死にかける。その時に酸素を供給してる光合成の偉大さに気づく。奈良先端科学技術大学院大学にて光合成に関する研究で博士号を取得後、光合成を軸に自分探しの旅へ。農業体験、ワイナリー立ち上げ、ログハウスづくり、自給自足のヒッピー生活、宮大工見習い、、など色々経験した結果、旅する前より興味が拡散した。その後、ネオ・モルガン研究所(現ちとせ研究所)に入社。社会の流れに身を委ねていたところ、藻の仕事にたどり着く。光合成が藻から始まったことを考えると、この出会いは天啓だと思っている。今世で徳を積み、来世は労働せずに光合成だけで生きてみたい。

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