近年、海洋投棄問題に端を発して環境課題として注目されやすいプラスチック。藻類からのプラスチックに関連する取り組みを今回から2回に渡り紹介したい。

今回はルイジアナ州立大学で発明された藻類からの生分解性マルディグラビーズ(Mardi Gras beads)製造の話である。マルディグラビーズをご存知であろうか。

マルディグラとはフランス語で「Mardi=火曜日」「Gras=太った」という意味で、英語では「Fat Tuesday=ファット・チューズデー」とも言われる。2月や3月に位置する謝肉祭の最終日を意味して、西方キリスト教では祝賀が行われる。特にニューオーリンズにおける「ニューオーリンズ・マルディグラ」はアメリカ最大のカーニバルである。仮面舞踏会など町中のいろいろな場所でパーティーが催されるが、一番醍醐味あふれるのは、車道を大型のフロート(日本で言う山車)が進むパレードだ。フロートからは仮装した人たちが観衆に向かってマルディグラ色(紫色・緑色・金色)のビーズやお菓子を投げ、観衆もそれらを貰おうと派手な格好をしアピールする、というもの。

このフロートから投げられるビーズがマルディグラビーズというわけである。ビーズはマルディグラを象徴する欠かせないアイテムなわけだが、祭りの後には何十万トンものプラスチック製マルディグラビーズが捨てられ、埋め立てられているという現実がある。まさに後の祭り、と言えよう。

この記事は、マルディグラビーズを藻類由来の物質を使って生分解性に変えた、というの主旨なのであるが、実はこの発明をしたのは日本人の加藤直洋准教授である。

加藤先生の話によると、原料としては珪藻の一種を用いているようだが、たまたま学生が仕掛け忘れた研究成果から今回のニュースにつながる発見があったそうだ。こういった瞬間に出会えるというのは研究者であれば誰しもが憧れるものだが、その現象に気づけるだけの感度を常に保っているからこそ神様も微笑むのだろう。

現状、実用化に向けた課題はコストとのこと。計算によると3,000個の生分解性ビーズネックレスを作るための最初のバッチを生産するのに約40,000ドル(約450万円)、ネックレス1本につき約13ドル(1,500円ほど)かかると見積られている。これは市販プラスチック製品の10倍ほどであり、競争力を持たせていくにはコストを低下させる必要性がある。このため、現在は副産物として機能性色素であるフコキサンチンの利用を検討しているそうだ。

実は加藤先生とは4年ほど前に一度日本でお会いしたことがある。帰国の際に足を伸ばしていただいて、お互いの藻類研究の話をさせていただいた。ちょうどその時にもマルディグラビーズの話をしていただき、目の付け所がユニークで面白いな、と感じてよく覚えていた。加えて、加藤先生が高校の先輩だったことも判明して、「マジっすか!?お互い実用化に向けて頑張りましょうね!」なんて言って盛り上がったことを思い出す。まさかその時は今のようにプラスチック問題にここまで注目が集まるとは思っていなかったが、見事に時流を捉えたテーマになったわけだ。

失敗した実験から見つけた発見に始まり、ちゃんとサンプル製品まで作ったところでプラスチック問題がホットになるなんて。こんなことあるんだなぁ。。これはもう天の思し召しと思って、実用化まで行くしかないっすね、加藤先輩。応援してます!

参考資料
https://ui.asu.edu/content/asu-developing-biodegradable-plastics-made-bacteria
https://www.lsu.edu/mediacenter/news/2019/01/28bio_kato_beads2019.php
https://www.lsu.edu/mediacenter/news/2018/02/06bio_kato_beads.php
サムネイル画像
“Mardi Gras Beads” ©2006 Mark Gstohl/CC BY 2.0