これまで三回にわたり、欧州における藻類研究についてご紹介してきた。



今回は前回に引き続き、1億円以上の予算がついている37プロジェクトのうち、残りの18 プロジェクトについて紹介する。

EUにおける燃料以外の微細藻類研究プロジェクト

微細藻類研究(燃料以外含む)に関するEU国内グラント一覧表/筆者作成

33)SALTGAE : Demonstration project to prove the techno-economic feasibility of using algae to treat saline wastewater from the food industry.

【概要】食品業界から出てくる、既存の排水処理技術が使えない高塩濃度の排水を微細藻類を用いて処理する。具体的には耐塩性微細藻類/細菌コンソーシアムを用いて高塩濃度排水から栄養素を回収し、生産された微細藻類バイオマスから副産物を取り出す。排水に関連する様々な分野のステークホルダーの動員とネットワーキングのためのプラットフォームを開発し、普及のための共通ロードマップの開発を目指す。排水に関するイノベーションの横断的障壁に取り組む法律、規制および価格設定方法の整備、金融投資の促進、を伴いながら排水の「処理」から「資源化」へのパラダイムシフトを促進する。
【委託先】<公的機関>パダノテクノロジーパーク財団(イタリア)、NOVA ID FCT(ポルトガル)、炭水化物/天然物評価センター(フランス)、INSTMコンソーシアム(イタリア)、INSTITUTO DE BIOLOGIA EXPERIMENTAL E TECNOLOGICA(ポルトガル)、EUROPEAN BIOMASS INDUSTRY ASSOCIATION(ベルギー)、EUROPEAN DESALINATION SOCIETY(イタリア)、RISE研究所(スウェーデン) <大学>ダブリンシティ大学(アイルランド) <企業>ALGEN, CENTER ZA ALGNE TEHNOLOGIJE社(スロベニア)、KOTO PROIZVODNO IN TRGOVSKO PODJETJE 社(スロベニア)、ARAVA BUILDING AND DEVELOPMENT社 (イスラエル)、TECNOLOGIAS AVANZADAS INSPIRALIA社(スペイン)*(中核機関)、BiboAqua社(すペイン)、ARCHIMEDE RICERCHE 社(イタリア)、OXIDINE WATER TECHNOLOGY社(スペイン)、PRODUMIX 社(スペイン)、ENCO社(イタリア)、OFFICINE MECCANICHE SANFILIPPO社(イタリア)
【期間】2016年6月1日〜2019年5月31日
【費用】プロジェクト総費用9,904,938ユーロ(日本円換算1,288百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

34)SE2B : Solar Energy to Biomass – Optimisation of light energy conversion in plants and mciroalgae.

【概要】分子生物学、生化学、生物物理学、バイオテクノロジーなどの学際的なアプローチで微細藻類の光合成効率の最適化を目指す。これらの現象を理解することで得られる知識は、微細藻類の大量培養の生産性を高め、この生産を最適化するために使用される分析装置の開発につながっていく。
【委託先】<公的機関>原子力・新エネルギー庁(フランス) <大学>ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学(ドイツ)*(中核機関)、アムステルダム自由大学(オランダ)、ヴェローナ大学(イタリア)、ワーゲニンゲン大学(オランダ)、パラツキー大学オロモウツ(チェコ共和国)、ロンドン大学クイーン・メアリー(英国)、トゥルク大学(フィンランド)、ウメオ大学(スゥエーデン)、フローニンゲン大学(オランダ) <企業>PHOTON SYSTEMS INSTRUMENTS 社(チェコ共和国)、PHYCOSOURCE 社(フランス)
【期間】2016年3月1日〜2020年2月29日
【費用】プロジェクト総費用3,866,945ユーロ(日本円換算503百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

35)Space at Sea : Multi-use affordable standardised floating Space@Sea.

【概要】海上における安全かつ低コストなフローター型デッキスペースの開発を行う。各フローターは、住宅、再生可能エネルギーハブ、アクアファーミング(海藻、藻類および養殖場)、物流設備などの異なる機能をサポートすることが可能となっている。様々な方法でアプリケーションを組み合わせ、場所と機能に関する仕様にあわせて作成する。北海のエネルギー拠点、地中海の水産養殖、そして黒海の浮遊物流拠点の3つの島で実証を進める。
【委託先】<公的機関>オランダ海洋研究機関(オランダ)*(中核機関)、Development Centre for Ship Technology and Transport Systems(ドイツ)、STICHTING WAGENINGEN RESEARCH(オランダ) <大学>デルフト工科大学(オランダ)、ハンブルグ工科大学(ドイツ)、ロックストック大学(ドイツ)、グラーツ工科大学(オーストリア) <企業>MOCEAN OFFSHORE社(オランダ)、DeltaSync社(オランダ)、NEMOS社(ドイツ)、BLUEWATER ENERGY SERVICES社(オランダ)、GICON-GROSSMANN INGENIEUR CONSULT社(ドイツ)、WATERSTUDIO社(オランダ)、ICEPRONAV ENGINEERING社(ルーマニア)、VAL FOU社(ノルウェイ)、GEOSEA 社(ベルギー)
【期間】2017年11月1日〜2020年10月31日
【費用】プロジェクト総費用7,629,927ユーロ(日本円換算992百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

36)FutureAgriculture : Transforming the future of agriculture through synthetic photorespiration.

【概要】継続的に増加する人口を養う新しい緑の革命のためには、農業の生産性を大幅に向上させる必要がある。光呼吸は、エネルギーを散逸させ、無駄なCO2の損失につながるため植物の生育収量を制限する。このため、光呼吸を緩和するための効率的な代謝バイパスを付与し、多くの栽培作物の光合成効率を高めることを目的とする。実験材料としてはシアノバクテリアを用いる。
【委託先】<公的機関>マックス・プランク研究所(ドイツ)*(中核機関)、ワイツマン科学研究所(イスラエル) <大学>インペリアル・カレッジ・ロンドン(イギリス) <企業>In社(イタリア)、Evogen社(イスラエル)
【期間】2016年1月1日〜2020年12月31日
【費用】プロジェクト総費用4,871,410ユーロ(日本円換算633百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

37)Virocellsphere : Host-virus chemical arms race during algal bloom in the ocean at a single cell resolution.

【概要】海洋微細藻類Emiliania huxleyiの大発生を終了させるdsDNA E.huxleyiウイルス(EhV)についての研究を行う。微細藻類とウィルスの相互作用をオミックスデータで解析し、宿主感受性およびウィルス感染に対する抵抗性をもつ細胞機構を解明することを目的とする。
【委託先】ワイツマン科学研究所(イスラエル)
【期間】2016年11月1日〜2021年10月31日
【費用】プロジェクト総費用2,749,901ユーロ(日本円換算358百万円相当、1ユーロ=130円とする)

38)BEAL : Bioenergetics in microalgae : regulation modes of mitochondrial respiration, photosynthesis, and fermentative pathways, and their interactions in secondary algae.

【概要】二次共生を経て進化してきた「二次植物」に分類される微細藻類は、地球全体のバイオマスのわずか1〜2%ではあるが、地球規模の炭素固定に大きな影響を与えている。本プロジェクトでは、
(i)生物物理的アプローチによって光合成の調節様式を特徴づけ、比較することを可能にする多分野アプローチの技術を開発すること
(ii)異なる進化的シナリオから生ずる生物における呼吸、光合成および発酵の間の相互関係を調査および比較すること
を行う。これらの開発は、微細藻類の成長、生物工学的観点から微藻類の多様性を利用するための必要な知識、海洋植物プランクトンの複雑さを理解するための手段となるであろう。
【委託先】リエージェ大学(ベルギー)
【期間】2016年6月1日〜2021年5月31日
【費用】プロジェクト総費用1,837,625ユーロ(日本円換算239百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

39)ICY-LAB : Isotope CYcling in the LABrador Sea.

【概要】微細藻類の一種である珪藻は、海表面から海底への炭素移動の約半分を担っており、栄養循環の状態を示す鋭敏なインジケータとして利用できる。珪藻は、保護骨格にケイ素(Si)を保有している。このケイ素の動き(シリコンサイクル)の反応は、高精度シリコンアイソトープを使えばそれらの変化を追うことができる。本プロジェクトでは、フィールドサンプリング戦略(沿岸グリーンランドと海洋のラブラドール海への調査探査)と最先端の分析手法を組み合わせて、顕著な環境変化の領域でシリコンサイクル全体を捉えることを目指す。その結果は、北大西洋の生態学的に重要な地域における栄養循環、生物鉱物化、および珪質生物の分類学および生物地質学に関する前例のない、学際的な見方を導くだろう。
【委託先】ブリストル大学(イギリス)
【期間】2016年7月1日〜2021年6月30日
【費用】プロジェクト総費用1,999,885ユーロ(日本円換算256百万円相当、1ユーロ=130円とする)

40)INDALG : Development of an innovative algae based tertiary wastewater treatment and value recovery system.

【概要】微細藻類を使用して排水中の窒素、リンおよびその他の栄養素の除去システムを構築する。得られた藻体は、嫌気性消化、動物飼料、バイオベースの原料などに利用される。本プロジェクトでは、地方自治体の排水処理のためのプロセスの商業用デモ施設を構築する。産業排水(例えば、鉱山)の処理プロセスを最適化し、微細藻類バイオマスから有価物を回収する方法を開発する。これらシステムを市場に提供するための商業戦略を開発する。
【委託先】INDUSTRIAL PHYCOLOGY 社(イギリス)
【期間】2016年10月1日〜2018年6月30日
【費用】プロジェクト総費用2,098,983ユーロ(日本円換算273百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

41)FluctEvol : Fluctuating selection, evolution, and plasticity in random environments.

【概要】本プロジェクトでは、高等かつ多様な塩分濃度で繁栄する極限微細藻類のDunaliella salinaを実験材料として用いて、経時的な環境変動に対する予測解析を行う。塩分の変動の大きさに合わせた予測を行い、この種の塩分適応に関与する形質であるグリセロールとカロチン含量の可塑性の進化を解析するために、ハイスループットの表現型解析と候補遺伝子配列の決定を行う。本研究を通して、形質の可塑性(エネルギー細胞代謝産物の蓄積)を進化的に改変し、生産性の現在の限界を克服できる可能性がある。
【委託先】フランス国立科学研究センター(フランス)
【期間】2016年3月1日〜2021年2月28日
【費用】プロジェクト総費用1,499,665ユーロ(日本円換算195百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

42)ALGAE4A-B : Development of Microalgae-based novel high added-value products for the Cosmetic and Aquaculture industry.

【概要】微細藻類の成分について水産養殖および化粧品原料としての用途開発を進める。検討項目は以下の通り。
a)微細藻類培養系の低コスト化および最適化、
b)微細藻類および魚類のオミックス技術の開発
c)多糖類、タンパク質、酵素、酸化防止剤を念頭においた微細藻類由来の高付加価値製品の下流工程開発
d)開発、製剤化およびin vitro評価、水産養殖のための化粧品および栄養補給食品としての評価。
【委託先】ルプレヒト・カール大学ハイデルベルク(ドイツ)
【期間】2016年1月1日〜2019年12月31日
【費用】プロジェクト総費用972,000ユーロ(日本円換算126百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

43)ABACUS : Algal for a biomass applied to the production of added value compounds.

【概要】微細藻類バイオリファイナリーの事業化を目指した技術開発を目的としている。ターゲットはテルペノイドとし、香水用テルペンから栄養補給食品用の長鎖テルペノイド(カロチノイド)に至​​るまで、微細藻類ベースのハイエンド製品を市場へ投入することを狙う。数値ターゲットとしては、標的化テルペノイドの含有量が10%を超える微細藻類を得ることである。また、テルペンの生産に関連するパラメータ(光、O2分圧、CO2分圧、栄養素)に関する特定のセンサーの開発により、フォトバイオリアクターのオンライン監視と自動制御による培養の最適化も行う。
【委託先】<公的機関>原子力・新エネルギー庁(フランス)*(中核機関)、スコットランド海洋科学協会(英国)、科学調査協議会(スペイン) <大学>カールスルーエ工科大学(ドイツ) <企業>A4F ALGAFUEL 社(ポルトガル)、SUBITEC社(ドイツ)、PROTEUS社(フランス)、MICROPHYT社(フランス)、SENSIENT COSMETIC TECHNOLOGIES社(フランス)
【期間】2017年5月1日〜2020年4月30日
【費用】プロジェクト総費用5,135,861ユーロ(日本円換算668百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

44)BIOSEA : Innovative cost-effective technology for maximizing aquatic biomass-based molecules for food, feed and cosmetic applications.

【概要】 新規な持続可能なバイオマス資源として微細藻類及び海藻に注目。EU内の人口増加に向けた対策とする。このために低コストな微細藻類培養プロセス、加工プロセスの開発を目指す。対象としては微細藻類としてはSpirulina及びIsochrysis、海藻としてUlva及びSaccharina.これらから6つの高付加価値物質候補を現在の製造コストの半分以下で生産・抽出できることを目標とする。
【委託先】<公的機関>繊維技術研究所(スペイン)*(中核機関)、国立技術・食品安全センター(スペイン)、水産養殖技術センター(スペイン)、フランダース技術研究所(ベルギー) <企業>TABU COZUMLERI DANISMANLIK社(トルコ)、IGV社(ドイツ)、BIOPOLIS社(スペイン)、VAN LOON CHEMICAL INNOVATIONS社 (オランダ)、FEYECON DEVELOPMENT & IMPLEMENTATION社(オランダ)、COMPLEMENTOS DE PIENSOS COMPUESTOS社(スペイン)、DIBAQ DIPROTEG社(スペイン)、SORIA NATURAL 社(スペイン)、HENKEL 社(ドイツ)
【期間】2017年6月1日〜2020年5月31日
【費用】プロジェクト総費用4,491,382ユーロ(日本円換算584百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

45)VALUEMAG : Valuable Products from Algae Using New Magnetic Cultivation and Extraction Techniques.

【概要】微細藻類の生産と収穫のための画期的なソリューションを提供することを目的としている。具体的には超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPAN)を微細藻類原形質に導入して磁気特性を付与し、軟磁性円錐表面(SOMAC)上で培養を行う。このシステムによりコンタミリスクを最小限に抑え、水量の使用量を減らすことができる。また収穫についても迅速かつ安価でできるようになる。生産された微細藻類バイオマスは超臨界CO2を用いて抽出し、そこからの成分抽出についても磁気を用いた新技術の開発を目指す。
【委託先】<公的機関>THERACELL ADVANCED BIOTECHNOLOGY(英国)、スロバキア科学アカデミー物理学研究所(スロバキア) <大学>アテネ国立技術大学(ギリシャ)*(中核機関)、サンタ・マリーア・カープア・ヴェーテレ大学(イタリア) <企業>ENEA(イタリア)、NOMASICO社(キプロス)、PNO INNOVATION社(ベルギー)、IRIS社(スペイン)、EXERGY社(英国)、VERTECH GROUP社(フランス)、ECODUNA社(オーストリア)
【期間】2017年4月1日〜2020年3月31日
【費用】プロジェクト総費用4,789,000ユーロ(日本円換算623百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

46)ALGAMATER : Using microalgae bioreactor technology to deliver the world’s most cost effective, energy-efficient and adaptable system for the treatment of toxic industrial and landfill wastewater.

【概要】高度に濃縮された排水に含まれる窒素源やリン酸塩を微細藻類を用いてタンパク質や他の有機物に変換する処理システムの開発を行う。パイロット試験では、従来の排水処理施設と比較して、排水処理におけるエネルギーコストを60%以上削減し、運用コストを40%以上削減可能なことがわかった。本システムの実用化を目指す。
【委託先】BLUEMATER社(ポルトガル)
【期間】2017年6月1日〜2019年5月31日
【費用】プロジェクト総費用2,906,000ユーロ(日本円換算378百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

47)MAGNIFICIENT : Microalgae As a Green source for Nutritional Ingredients for Food/Feed and Ingredients for Cosmetics by cost-effective New Technologies.

【概要】微細藻類は現状製造コストが高いため、高付加価値のアプリケーションの市場機会しかない。微細藻類成分の市場アプリケーションの拡大は、新たなビジネスチャンスをもたらし、5〜10年以内に中低価値市場に参入していくために必要な知識と経験を提供することにつながる。本プロジェクトでは、商品展開の範囲と市場規模を実質的かつ持続的に拡大させるため、微細藻類のバイオマスを食品、水産物および化粧品用途の貴重な原料に変えることを目的とする。培養および加工に基づいて持続可能かつ経済的に実現可能な新しいバリューチェーンを開発し、検証していく。
【委託先】<公的機関>フラウンフォーファー協会(ドイツ) <大学>ワーゲニンゲン大学(オランダ)*(中核機関) <企業>NECTON社(ポルトガル、CMP-CIMENTOS MACEIRA E PATAIAS社(ポルトガル)、SPAROS 社(ポルトガル)、ERDYN CONSULTANTS社(フランス)、ALGA DEVELOPMENT ENGINEERING AND SERVICES社(スペイン)、MADEBIOTECH 社(ポルトガル)、NAREC DISTRIBUTED ENERGY 社(英国)、ALGOSOURCE TECHNOLOGIES社(フランス)、KEMIN INDUSTRIES社(ベルギー)、IMENZ BIOENGINEERING社(オランダ)、N-ZYME BIOTEC社(ドイツ)、NATAC BIOTECH社(スペイン)、TOTAL RAFFINAGE CHIMIE社 (フランス)
【期間】2017年6月1日〜2021年5月31日
【費用】プロジェクト総費用5,886,578ユーロ(日本円換算765百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

48)SYMCELLS : Resolving the molecular mechanisms of intracellular coral-algal symbiosis.

【概要】多くの細胞は微生物との共生によって生態学的なアドバンテージを得ることができる。この中でも特出すべき共生にサンゴと微細藻類の共生関係がある。微細藻類が光合成によって固定した栄養素がサンゴの生育に利用されることで、サンゴは貧栄養下の環境においても生育することができる。本プロジェクトではサンゴと微細藻類の共生関係を調べることによって、共生関係についての理解を深め、サンゴ礁の環境的及び経済的な価値について調査を行う。
【委託先】ルプレヒト・カール大学ハイデルベルク(ドイツ)
【期間】2017年6月1日〜2022年5月31日
【費用】プロジェクト総費用2,272,485ユーロ(日本円換算295百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

49)ActiveBioFluids : Origins of Collective Motion in Active Bio fluids.

【概要】単純生物で生じる集合的な運動および同期のメカニズムについて探るため、以下の3つについて調べる。
(1)緑藻類クラミドモナス・ラインハルト(Chlamydomonas Rheinhardtii)の2つの鞭毛の同期化
(2)毛細血管における異時性波の3つのモデル系における自発的コヒーレント運動の起源を解明するための開発
(3)能動的懸濁液中の微生物を泳ぐ集団運動 単純生物の集団運動につながるメカニズムを理解することは、機械的シグナル伝達、胚発生およびバイオフィルム形成などの多くの生物学的プロセスに関わるため、非常に重要となる。
【委託先】デルフト工科大学(オランダ)
【期間】2017年4月1日〜2022年3月31日
【費用】プロジェクト総費用1,500,000ユーロ(日本円換算195百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

50)AlgaeCeuticals : Development of microalgae-based natural UV Sunscreens and Proteins as cosmeceuticals and nutraceuticals.

【概要】微細藻類は、医薬品、化粧品、栄養補助食品としての産業発展の可能性を持つユニークな生物活性分子の源である。本プロジェクトは、
1)微細藻類が生産するマイコスポリン様アミノ酸に基づく天然UV日焼け止め、
2)藻類の栄養源
3)藻類由来のプロテアーゼ
に注目し、これらの素材の化粧品産業・食品産業への展開を目指す。このプロジェクトは、学際的な知識の交換、共同研究の開発と普及を伴い、持続可能な開発のための学界と産業界との部門間の連携の強化につながる。
【委託先】<公的機関>ETHNIKO KENTRO EREVNAS KAI TECHNOLOGIKIS ANAPTYXIS(ギリシャ)*(中核機関)、FONDAZIONE EDMUND MACH(イタリア)、IGV GREENFOOD(ドイツ) <大学>アテネ農業大学(ギリシャ) <企業>BIONOS BIOTECH 社(スペイン)、EPARELLA社(オーストリア)、FRESH FORMULA PRIVATE LIMITED COSMETICS MANUFACTURING COMPANY社(ギリシャ)
【期間】2018年1月1日〜2021年12月31日
【費用】プロジェクト総費用1,129,500ユーロ(日本円換算147百万円相当、1ユーロ= 130円とする)

まとめ

EUの微細藻類研究のトレンドとしては、
1. 微細藻類を用いた排水・排CO2処理システムの構築
2.高付加価値(化粧品原料、医薬原料、水産)アプリケーションの開発
3. 既存農業への微細藻類培養の融合
4. 生産性向上を目指した光合成機能の改良・仕組み把握(アカデミック)
5. 微細藻類大発生による水質悪化を防ぐシステムの開発
の大きく5パターンに分けられる。中でもEUとして力を入れているのが排水中に含まれる栄養源を微細藻類で回収し、有価物に変換するモデルの構築である。2009年から似た内容の大型プロジェクトが5つ以上行われており、2018年現在も3つの大型プロジェクトが進行中である。

また、微細藻類からの高付加価値物質のアプリケーション開発についても複数のプロジェクトで進められている。特に化粧品原料としての利用が多く、微細藻類の培養から、分離精製、化粧品原料としての機能性や安全性の評価まで、一貫したプロセスを構築している。研究のための研究ではなく、市場に出して産業化させるところまで見据えた進め方になっているのが特徴的である。この特徴はEUのほとんどのプロジェクトに共通しており、産学官が一体化されたコンソーシアムで行われている。

全体的な傾向としても、EUの微細藻類産業化に向けた速度は加速していると考えられる。EUの2009年から2018年までの微細藻類研究に対する投資予算額は約300億円であるが、この配分は燃料関連が約90億円(30%)、燃料以外が約210億円(70%)となっている。特に2015〜17年までの直近3年間は全体の40%を超える約130億円が投下されているが、その中で燃料関連の予算は2億円程度(2%)、燃料以外が125億円(98%)と脱燃料研究の傾向が顕著となっている。

これは明確な戦略変更であろう。EUは産業化まで時間のかかる燃料研究開発から、早期産業化が見込めるテーマを中心とした研究開発に注力し、まずは藻類産業を立ち上げて、産業を大きくしながら最終的には燃料生産を目指す、といった戦略に大きく舵をきったと推測される。