今回ご紹介する藻は、淡水環境であればどこにでもいる藻類です。みなさんが毎日通り過ぎている公園の池の水でも、きっと発見できると思います!

●学名:Pandorina sp.(和名:カタマリヒゲマワリ、クワノミモ)
●分類:真核生物>アーケプラスチダ>緑藻綱>ボルボックス目>ボルボックス科
●生息:日本を含めアジア、ヨーロッパ、アメリカなど世界中に生息。
●体長/形態:8個、ないし16個の細胞が密着して、長径約100 -250 µmの長楕円体の群体を形成する。群体は寒天質に包まれている。各細胞からは2本の等長鞭毛が寒天質を突き抜けて伸びていて、回転しながら遊泳する。
●レア度:★☆☆☆☆

藻ガール尾張は日々藻のサンプリングをしてくれる人を募集しており、「サンプリングしてきてもらえませんか?」がお決まりのセリフです。大抵は忘れ去られてしまうのですが、ある時、社内の某人が弊社オフィスビル(かながわサイエンスパーク)に併設されている公園の池でサンプリングをしてきてくれました。このサンプルの中にパンドリナがいました。

パンドリナは池や田圃といった水が滞留する環境はもちろん、公園の池などの水が循環する人工環境でも、どこにでも生息している藻類です。今回観察したサンプルもそうですが、最盛期には水を濃縮しなくとも高頻度で出会えるくらい、水中に沢山いる藻類です。

パンドリナには「カタマリヒゲマワリ」という和名があります。「ヒゲマワリ」を和名の一部にもつ藻類は、ヒラタヒゲマワリ、ニセヒゲマワリ、カタマリヒゲマワリ、タマヒゲマワリ、ヒゲマワリ、オオヒゲマワリと多数存在しています。共通した特徴として、定数群体を形成しており、髭の様な鞭毛を各細胞に2本もち、回転しながら遊泳します。’ヒゲマワリ’シリーズは、ヒラタヒゲマワリからオオヒゲマワリに向かって進化していると考えられていて、細胞学的に興味深い藻類たちです。こちらについては、また別の機会にご紹介できたらと思います。

パンドリナである「カタマリヒゲマワリ」は、‘塊の髭廻り’の意味です。‘ヒゲマワリ’シリーズの中でも、細胞同士が規則正しく密に接着して塊様になっている藻類はパンドリナだけです。この接着した様子は藻類界でも稀で、桑の実に例えて「クワノミモ」とも呼ばれています。

皆さんも、お近くにある公園の池を通りかかった際には、ぜひ足を止めて沢山の藻類がいることを思い出してみてくださいね。

プレゼントの野外水サンプルをわくわく観察している筆者

 


参考資料
Arakaki, Y., Kawai-Toyooka, H., Hamamura, Y., Higashiyama, T., Noga, A., Hirono, M., … & Nozaki, H. (2013). The simplest integrated multicellular organism unveiled. PLoS One8(12), e81641.