現在、様々なバイオマスを使ったバイオ燃料の研究が進められています。
その中でも、石油を作る藻類と云われ、幅広く研究されている『ボツリオコッカス』は、藻類燃料研究の代表種です。

●学名:Botryococcus braunii
●分類:真核生物>アーケプラスチダ>緑藻・トレボキシア藻網
●生息:日本を含めアジア、ヨーロッパ、アメリカなど世界中に生息。時折大量繁殖を起こすが、通常の水中密度は極めて低い。
●体長/形態:単細胞は約10 µmの緑色の卵型細胞。数十個から数万個の細胞がブドウの房のように連なり、外側は細胞外マトリクスに包まれている。細胞内に油滴(重油相当の炭化水素)を作り分泌し、細胞外マトリクスに蓄積する性質がある。
●レア度:★★★★☆

現在使用されている天然資源の石油や天然ガスが、元々何から作られているかご存知ですか?

大昔に藻類や動物プランクトンの死骸が堆積したことが始まりです。この堆積層が長い年月をかけて熱や圧力を加えられ、地中深くで石油や天然ガスが含まれるオイルシェール層(油質頁岩層)へと変化しました。オイルシェール層の割れ目を通って、石油や天然ガスが溜まったところが、現在の油田やガス田となっています。

もちろん、石油や天然ガスとして出来上がったものは生物の形は残っていません。しかし、オイルシェール層には石油や天然ガスになる前の、プランクトンの状態が残っていることがあります。左の走査型電子顕微鏡写真は、オイルシェール中に含まれたボツリオコッカスです。ブドウの房状の構造がよく保存されています。全世界で発見されるオイルシェールの中にボツリオコッカスが主成分として含まれているかまでは研究は進んでいませんが、多くのオイルシェールはボツリオコッカスと主とする緑藻が起源であるという見解がなされています(写真:Derenne et al. (2000)より)。

太古の湖でボツリオコッカスが大量増殖している情景、そして風に流されて湖岸へと吹き寄せられるボツリオコッカスとそれが分泌する油膜のきれいなグラデーションが想像されます。この堆積物が地中に埋もれて、悠久の時を経て現代のオイルシェールや石油や天然ガスとなって我々人類を支えていると思うと、藻って偉大だなと思わずにいられません。

世界有数の石油・天然ガス産出地域にある池で、ボツリオコッカスの大量増殖に出会いはしゃぐ筆者。


参考資料
Derenne, S., Largeau, C., Brukner-Wein, A., Hetenyi, M., Bardoux, G., & Mariotti, A. (2000). Origin of variations in organic matter abundance and composition in a lithologically homogeneous maar-type oil shale deposit (Gérce, Pliocene, Hungary). Organic Geochemistry31(9), 787-798.
http://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2015html/1-1-1.html