これまでもModiaで度々取り上げている夜光虫。青白く光る仕組みは蛍と同じ酵素反応によるものです。光合成を行わないことや、細胞のサイズが0.1 mmから2 mmと藻類の中では群を抜いて大きいことなど、変わり者の藻類です。また、身近な赤潮生物の一種でもあります。

●学名:Noctiluca scintillans(和名:ヤコウチュウ)
●分類:真核生物>SAR>アルベオラータ
●生息:日本を含め、世界中に分布。
●体長/形態:100 – 2000 µmの巨大な海産性単細胞藻類。扁平型をしている。細胞の大部分は透明な液胞が占めている。細胞質がくぼんだ箇所(写真上部)に密に集中しているため不透明にみえる。ここから触手が1本伸びており、他の藻類や原生生物を捕食する。ヤコウチュウは赤潮生物の一つである。物理的刺激により青白く光るルシフェリンールシフェラーゼ発光が見られる。
●レア度:★☆☆☆☆

ヤコウチュウは葉緑体をもっておらず、光合成を行うことができないため、藻類の中でも従属栄養生物(詳しくはこちら)に入ります。触手でエサを捕らえて栄養にするのですが、なんと他の藻類も捕食します。

写真は、渦鞭毛藻のヤコウチュウが同じく渦鞭毛藻のPeridiniumを捕らえている写真です(Almeda er al. 2014より)。ヤコウチュウにとっては、同じ仲間でもエサはエサなのです。

赤潮を形成する藻類は、黄褐色や茶色の葉緑体をもつ珪藻や渦鞭毛藻など数多く存在しています。それらが大量発生すると、茶色を帯びた赤潮になります。

しかし、ヤコウチュウの赤潮は赤からピンク色になります。これはカロテノイド色素によるものです。前述した通り、ヤコウチュウ葉緑体を持っていないため、それこそ珪藻や渦鞭毛藻などもエサにして養分を補っています。ヤコウチュウの体内でそれらの藻が持つ葉緑体が分解されると、カロテノイドが蓄積してピンク色の赤潮になるというわけです。

皆さんも、海で粒状の物体とともに発生しているピンク色の赤潮に遭遇したら、「ヤコウチュウ!」と思い出してください。空のペットボトルに入れて持ち帰り、暗い所で振ってみると、きれいな青白い光が楽しめるかもしれませんよ!(ヤコウチュウの発生時期は春から夏にかけてです。)

 

赤潮ヤコウチュウを採取した時の筆者

 


参考資料
Almeda, R., Connelly, T. L., & Buskey, E. J. (2014). Novel insight into the role of heterotrophic dinoflagellates in the fate of crude oil in the sea. Scientific reports , 4, 7560.
堀輝三編. (1993). 藻類の生活史集成 第 3 巻 単細胞性・鞭毛藻類.内田老鶴圃