Modia[藻ディア]

藻類ビジネスとスピルリナの情報サイト

藻ガール尾張の藻類コレクション vol.12「テトラバエナ」

藻ガール尾張の藻類コレクション vol.12「テトラバエナ」

藻ガール尾張の藻類コレクションは、めでたく1周年を迎えました。
これからも、どうぞお付き合いの程をよろしくお願いします。

藻ガールは、こうして藻をアピールする機会をいただけることが幸せです!皆さまにも、大きな「幸せも」、小さな「幸せも」、いっぱいの幸せがありますよう願っております。
ということで、今回は、『幸せ藻』についてお話しします。

●学名:Tetrabaena socialis(和名:シアワセモ)
●分類:真核生物>アーケプラスチダ>緑藻綱>クラミドモナス目>テトラバエナ科
●生息:日本を含め世界中に生息。
●体長/形態:4個の細胞が平面で正方形型に配置している。細胞同士は細胞壁の側部で部分的に接着している。各細胞は直径約10µmで2本の等長鞭毛が伸びている。
●レア度:★☆☆☆☆

シアワセモ(幸せ藻)は4個の細胞がきれいに正方形型に並んでおり、その姿はまるで幸運を呼ぶ「四つ葉のクローバー」。しかも水中では列を乱さずに泳ぐため、まさに四つ葉のクローバーが舞っているように見えます。

テトラバエナが和名に「シアワセモ」と名づけられた理由は2つあり、1つは形態が幸せの象徴である四つ葉のクローバーに似ていたことです。そしてもう1つの理由は、幸運にも、進化的に初期に多細胞化を成し遂げた藻類だと考えられていることです。

今までシアワセモは単に4細胞が規則正しく配置されただけの「集合体」とみなされていました。しかし、Arakakiら(2013)の研究で、シアワセモが4細胞を正方形に配置するために、発生の初期に細胞同士が連絡していることが明らかにされました。また細胞の鞭毛の配置が単細胞性緑藻よりも群体性緑藻に近いこともわかり、シアワセモは4細胞の集合体ではなく、統合が取れた「多細胞」とするのが妥当であると結論付けられたのです。

群体性緑藻の面々というのが、実はパンドリナでも紹介したヒゲマワリシリーズです。今までヒゲマワリシリーズの最小構成細胞数は8細胞のヒラタヒゲマワリでした。構成細胞数4細胞のシアワセモの登場で、「多細胞化への進化」の研究が一層進むことが期待されます。

シアワセモをヒゲマワリシリーズに当てはめるなら、皆さんはどのような名前をつけますか?シカクヒゲマワリ?ヨツカドヒゲマワリ?こんなことを思うと、藻ガールはわくわくしてしまいます。


参考資料
Arakaki, Y., Kawai-Toyooka, H., Hamamura, Y., Higashiyama, T., Noga, A., Hirono, M., … & Nozaki, H. (2013). The simplest integrated multicellular organism unveiled. PLoS One, 8(12), e81641.
Herron, M. D., Hackett, J. D., Aylward, F. O., & Michod, R. E. (2009). Triassic origin and early radiation of multicellular volvocine algae. Proceedings of the National Academy of Sciences, 106(9), 3254-3258.
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2013/47.html#annotation1
https://www.youtube.com/watch?v=p6nkqAF3JjI

顕微鏡写真
” TETRABAENA SOCIALIS, ARMONÍA POR CUATRO“©Proyecto Agua/CC BY-NC-SA 2.0

この記事を書いた人

SHARE