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藻類ファサードで覆われた夢の塔

藻類ファサードで覆われた夢の塔

米中貿易摩擦が激化する一方で、フランスと中国は両国関係の一層の強化を図り幅広い協力関係を構築している。例えば環境問題において両国は、気候変動対策、持続可能な都市開発、水の安全保障の3つの目標を設定し、国際協力と革新により経済基盤の確立に取り組んでいる。

その戦略的パートナーシップの一環として、先月中国の杭州で文化・自然、および最先端のブロックチェーン技術が融合する「フレンチドリームタワー(FrenchDreamTowers)」と名づけられたスマートビルの建築プロジェクトが開始された。

中国六大古都の一つである杭州市に位置する西湖は、「杭州西湖の文化的景観」として世界遺産に登録されており、中国では「上に天堂天国があり、下に蘇州杭州がある(上有天堂,下有蘇杭)」ということわざがあるほど最も有名な観光地の一つとして知られている。広々とした湖畔およびその周辺に点在している石橋、寺院、庭園、遊歩道などは「人間と自然の理想的な融合」を表し、自然環境に恵まれた美しく魅力的なその景色は、昔から多くの文人や芸術家にも好まれている。

現在、フランス・パリに事務所を置くXTU Architects建築設計事務所とフランスÎle-de地域の支援を受けているビジネスクラスターのSystematic、および中国の開発業者は、西湖の湖畔に自然景観との調和がとれた、省エネで環境に優しい「夢の塔」を立てる建築計画を進めている。

高さの異なる4基のタワーが相互に繋がって構成されるフレンチドリームタワーは、中国とフランス両国の歴史や文化をデザイン要素に取り入れている。

China And France Build On Relations With New Eco-Tower

As the United States engages in a with China, French-Chinese relations are proving more and more noteworthy for their contrasting approach to international trade . Having set three cooperative environmental goals -addressing issues in climate change, sustainable urban development, and water security-the two nations are establishing a ripe economic base for international collaboration and innovation.

特徴的な曲面の外観は、降り注いできた雨水を屋根から地面にある集水池に導くために戦略的に設計された。集まった水で育てた植物は自然なファイトレメディエーション(phytoremediation)プロセスを通して、汚染された空気や雨水を浄化する。加えて、地面に埋め込まれたアクアポニックスシステムは、野菜や花、魚などを育てることも可能となる循環型水システムが特徴的だ。

また、フレンチドリームタワーには建物全体のエネルギー使用量と室内環境を最適化する設計も組み込まれている。本来、ガラス張りの建物は外観が美しい反面、建物の内部の温度が上がりやすいという欠点がある。そのため冷房を使わざるを得ず、電力消費量が大きくなってしまう。その対策として、今日ほとんどのガラス張りの建物では断熱性能の向上のために複層ガラス(スペーサーと呼ばれる金属部材で2枚のガラスの間に中空層を持たせたガラス)が使われている。

XTU Architects はその2枚のガラスの間に挟んだ空気層で微細藻類を培養することを長年にわたって開発している。その理由は、二酸化炭素の削減と酸素の生成効果だけでなく、建物の内部発熱を微細藻類の生育に利用しながら建物の熱調節に寄与するという省エネ対策のためである。

さらに、ブロックチェーンサポートネットワーク技術を用いて杭州金蘇貝社(杭州金蘇貝公司、Gold Truffle Engineering)が開発した、空気の質やエネルギー貯蔵など多数の環境モニタリング・管理ができるシステムを導入する予定である。将来のスマートシティのニーズに応じた建物管理効率化など大規模なことに、ブロックチェーン技術が応用されるのは初めてのこととなる。

中国では環境問題を改善するため再生可能エネルギーの急速な導入を国家レベルの重要政策として掲げ、2020年までに全体で計3600億ドル(約39兆円)投入する方針を打ち出している。そのため、おそらくはこのプロジェクトへの関心が高いと見て間違いないだろう。

未来食、未来の建築など、藻類はまさに「未来の要素」として幅広い分野での応用が期待されている。


参考資料
https://www.forbes.com/sites/juansebastianpinto/2018/07/10/blockchain-controlled-and-algae-paneled-towers-in-china-to-symbolize-international-cooperation/#4060ccd22343
https://www.xuehua.us/2018/07/14/%E4%B8%AD%E6%B3%95%E5%90%88%E4%BD%9C%E6%B3%95%E5%9B%BD%E6%A2%A6%E5%A1%94%E6%91%A9%E5%A4%A9%E5%A4%A7%E6%A5%BC%E5%B0%86%E8%90%BD%E6%88%B7%E6%9D%AD%E5%B7%9E-%E5%8C%BA%E5%9D%97%E9%93%BE-2/zh-tw/

この記事を書いた人

台湾出身、2010年来日。東京大学大学院農学生命科学研究科にて博士号を取得後、ちとせ研究所に入社。ライフサイエンスに幅広く興味を持ち、生物の力を最大化に生かし人類の生活・環境へ貢献できるように努力している。周りに影響されることなく自分軸のある人生を歩む、中国語、英語、日本語の三ヶ国語を操るトリリンガル。

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