藻ガール尾張は、仕事はもちろんですが趣味としても世界の藻類商品を調べて、願わくば実際の商品をお取り寄せしたいと思っています。

藻類商品のポピュラーなものとして、海苔といった海藻類やスピルリナといった微細藻類など「藻類食品」が世界中で食べられています。また、専門家向けから子供向けまで、「藻類図鑑」などの書籍も各国で出版されています。さらになんと、藻類アクセサリー、藻類ぬいぐるみなども販売されています。
こうした商品のジャンルの幅広さを見ていると、藻類に魅了された人が世界中にいることがわかります!

その中で見つけてきた世界中のマニアックな藻類商品を、藻ガール尾張がマニアックにご紹介する、題して『世界の藻類商品お取り寄せカタログ』。
今回から連載をスタートさせていただきます!

第1回は『ユーグレナのぬいぐるみ』です。本物の特徴が良く再現されています!

藻類商品vol.01『ユーグレナのぬいぐるみ』

【商品名】Euglena(Euglena gracilis
【製造者】GIANTMICROBES, Inc.
【販売国】イギリス ※アメリカ等に支店あり。
【価格】£8.95
【原産国】中国
【サイズ】長辺20 cm、短辺6 cm
【URL】https://www.giantmicrobes.com/uk/products/euglena.html

この商品の藻類は?

この商品のモデルとなった藻類は、健康食品としても知られているユーグレナ(Euglena gracilis)です。世界中の淡水環境に観られるユーグレナは、多くの人々に知られています。緑色で光合成をするところは「植物」的であり、独特の激しい動きをするところは「動物」的であるため、「ユーグレナは植物か?動物か?」という疑問をもつ人も、世界中にいるそうです。
●学名:Euglena gracilis
●分類:真核生物>エクスカバータ>ユーグレナ藻綱>ユーグレナ目>ユーグレナ属
※ユーグレナの詳しい説明&トリビアは、藻類コレクションvol.5ユーグレナをご覧ください。

この商品のポイントはここ!

(1)紐のついている位置

写真で見ていただくとわかる通り、ぬいぐるみ頭部の凹みから紐が出ています。ユーグレナ藻綱の特徴として、細胞の先端部(頭部)は深く陥入しています。陥入部は「貯胞」と呼ばれ、貯胞の底部からは鞭毛が生えています。このぬいぐるみはユーグレナを縦切りにした状態で、頭部の凹み部分から鞭毛が生えている様子を表しているのです。

(2)紐の本数、長さ

鞭毛を表している紐ですが、長い紐と短い紐の2本伸びています。これはユーグレナ目の特徴です。
鞭毛の数と長さは、ユーグレナ藻綱の目を分類する上で重要です。「鞭毛の数が1本もしくは2本」、「遊泳時に鞭毛全体が動く」、「貯胞から長い鞭毛が1本外に伸びている」という項目が、ユーグレナ目の特徴です。このぬいぐるみは「2本」の「自由自在に曲げられる紐」がついていて、「1本はぬいぐるみの丈ほど長い」です。ユーグレナ目を的確に表しています。本来、短い鞭毛は貯胞内に留まる長さなので、このぬいぐるみの短い紐はもう少し短いほうがよりユーグレナに近いですが、電子顕微鏡を使わないと観察できない細かな特徴を表現しているのはあっぱれです。

(3)全体に散っている緑色の丸い刺繍

緑色の刺繍は、葉緑体を表しています。ユーグレナ属の葉緑体は種によって特徴があります。小さな丸状葉緑体が多数個存在しているものもあれば、1個の葉緑体が花びら状に細胞全体を包んでいたりと様々です。Euglena gracilisの場合は、皿状の薄い葉緑体が10個程存在します。各葉緑体の中央部には「パラミロン鞘」に包まれた「ピレノイド」が存在しています。ぬいぐるみについている緑色の刺繍には、中央部に黄色いドーナツ状の刺繍があり、ドーナツの内側はまた緑色です。これはパラミロン鞘に包まれたピレノイドを表しています。

(4)全体に散っている白い米粒型の刺繍

白い米粒型の刺繍は「パラミロン」を表しています。パラミロンとは細胞内原形質に漂う白い結晶で、細胞の中でキラキラしています。ユーグレナ属のパラミロンも種によって特徴があります。形は粒状・棒状・円盤状等、大きさも様々です。Euglena gracilisの場合は、小さな球状や卵型のパラミロンが多数存在しています。このぬいぐるみの、光沢のある白い糸で縫われた刺繍は一目でパラミロンだとわかります。

(5)頭部に1個ある丸い赤い刺繍

丸い赤い刺繍は「眼点」を表しています。眼点とは光受容体で、赤いカロテノイド顆粒が並んでいます。ユーグレナ藻綱の眼点は頭部の貯胞上部に位置します。まさに、このぬいぐるみの赤い刺繍の位置です。

(6)真ん中に1個ある丸い水色の刺繍

丸い水色の刺繍は「核」を表しています。核は遺伝子等がコードされているDNAをしまっている袋です。細胞が成長時など活発に活動しているとき核内でrRNAの転写等が行われますが、それが行われる場所が「核小体」です。核に色はありませんが、葉緑体が前面に広がっている藻類においては無色透明な核は明瞭にわかりますし、とりわけユーグレナ藻綱は核が大きいことも特徴です。このぬいぐるみでは薄い水色の刺繍を核、濃い水色を核小体で表しています。

(7)ぬいぐるみに入っている詰め物がビーズ

写真からは伝わりませんが、このぬいぐるみの尾部の詰め物はビーズです。なので、若干変形します。ユーグレナ藻綱の特徴の一つに、細胞表面に「ペリクル」という外被構造があります。ペリクルの柔らかさは様々であり、Euglena gracilisのペリクルは非常に柔らかく、柔軟なユーグレナ運動を行います。このぬいぐるみのビーズ素材は、このペリクルを表現しているのだと思います。

今回はとってもこだわったユーグレナのぬいぐるみをご紹介しました。お子さんへのプレゼントにいかがでしょうか?
それでは次回もお楽しみに!

長鞭毛をつかんでユーグレナを振り回すことができます。


参考資料
G.F. Leedale: Euglenoid flagellates, Englewood Cliffs, N.J., Prentice-Hall (1967)
水野寿彦、他(2000)『日本淡水動物プランクトン検索図説』東海大学出版会
千原光雄(1997)『藻類多様性の生物学』内田老鶴圃