冬になり、街のあちこちに美しく輝くイルミネーションが見られるようになったが、冬だけではなく年中イルミネーションを楽しめる神秘的な置物について今回は紹介したい。

以前、藻ディアではオーストラリアの夜光虫の記事を取り上げたが、夜光虫は今回取り上げる渦鞭毛藻の一種で、夜に波しぶきなどの物理的刺激を受けると、「光る」性質を持っている。

今回紹介する商品は、渦鞭毛藻Pyrocystis fusiformisの「光る」特性を活かした米BioPop社のDino Sphereである。この商品の扱い方はとてもシンプルであり、購入後届いた容器に、栄養と渦鞭毛藻が入った溶液を入れるだけ。そのまま放置した状態でも1~3ヶ月は持つが、定期的に肥料を与えることで、それ以上長持ちさせることができる。ちなみに、Amazonでの価格は、容器、藻、肥料併せて90ドル程度。クリスマスプレゼントとしても素敵ではないだろうか。

渦鞭毛藻の発光メカニズムは、通常の生物発光と同様に、ルシフェラーゼ(酵素)の触媒によりルシフェリン(基質)の一部が酸化され、酸化型ルシフェリンが生じるときに青色光が放出されるというものだ。実際には、渦鞭毛藻に外的刺激が加わると反応が進行し、0.1秒以下の速いフラッシュとして青色の光が観察される。ちなみに、渦鞭毛藻は、約24時間の「概日性リズム」を持ち、夜のみ発光するような仕組みになっている。そのため、昼間に暗い場所に渦鞭毛藻を置いても光ることはない。藻類の概日リズムについては、下記ページも参照頂きたい。

一方、砂時計のような形で、水の流れを与えることで、振らなくても光る仕組みにしたのが米Magical Microbes社のBioGloである。BioGloの商品化のためにクラウドファンディング大手のKickstarterにて2万ドルの出資を募集中であるが、12月4日時点で、既に4万ドル近くが集まっている。出資をすると商品がもらえる特典も付いているため、興味のある人は出資をしてみてはいかがだろう。出資の締切は2018年1月11日である。

ちなみに、渦鞭毛藻がなぜ光るか、との疑問については、「渦鞭毛藻を捕食する天敵を避けるため」、との説もある。捕食者が渦鞭毛藻を食べようとすると、その捕食者が光で照らされ、捕食者自身もその天敵に捕食される危険があるためである。

以上に挙げた商品は、両者とも子どもの好奇心を強く掻き立てるであろう。なぜ水が動くと光るのか、光る水の中にはどんな生き物が潜んでいるのか、水を動かし続けたら光の強さはどうなるか等、子どもだけではなく、親も一緒になって考えることのできる興味深いプロダクトだ。個人的に、こうした藻の様々な特徴を活かした商品がもっと増えればなと願っている。


参考資料
・大場 裕一,井上 敏(2002) . 渦鞭毛藻の発光 . 日本藻類学会創立 50 周年記念出版.
http://www.sourui.org/publications/phycology21/materials/file_list_21_pdf/16Bioluminescence.pdf
参考画像
・Dino Sphereの開発企業 BioPop社より画像使用を許諾